2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場のデザイン
の2案が提出され、12月22日にA案に決定したと発表されました。
旧計画の白紙撤回から約5カ月たちましたが、なんとか案が決定したということで前に進めると安堵の声で溢れています。
しかし、今回の東京オリンピックでは何かと問題が多く、新しい課題やトラブルがどんどん出てくるので、全然ついていけないとい方も多いのではないでしょうか?
そこで、新国立競技場の問題や現在までの経緯や今回決定したA案とB案のデザイン比較、さらにはザハ氏によるパクリ疑惑の件についても分かりやすくまとめて整理してみました。
それでは順番にご紹介していきたいと思います。
新国立競技場の場所はどこに?アクセス方法は?
今話題となっている新国立競技場が建設される場所は、東京都の新宿区と渋谷区にまたがる明治神宮外苑に隣接する場所となります。
現在は解体された国立霞ヶ丘陸上競技場(旧国立競技場)があった場所で、決定されたA案では旧国立競技場よりもかなり広い面積を要するようになるそうです。
〒160-0013
東京都新宿区霞ヶ丘町10−2
アクセス方法:都営大江戸線「国立競技場」駅で下車後約2分
7月に一度、ザハ・ハディドのデザイン案が白紙撤回された
当初、委員会での上限予算が1300億円だったのに対し、2520億円かかるとされるザハ氏の案は白紙撤回するとの結果になりました。
また開閉式の屋根のデザインに工期が思った以上かかるとのことでザハ氏の案は残念ながら断念されました。
再度のデザインのA案とB案が業者により提出
そこで新たに新国立競技場のデザインの公募がされました。
建設費用1550億円以内
2019年11月末の完成が実現可能
などの応募条件を満たした技術提案書が2案委員会に提出されました。
採点する審査員は大学教授など7人で、得点の高かったほうが新国立競技場のデザインとして決定になります。
採点基準は事業費や工期などの9項目を、1人当たり持ち点140点満点で採点。
そして、集まった応募のA案とB案の2案が審議にかけられました。
森喜朗元総理の大会組織委員会会長の発言が波紋を呼んだ
森会長は12月14日に
「外観だけならB案の方がいい」
と語り、12月15日には講演で
「A案はお墓のよう」
などと酷評したようです。
お墓のようって…笑
墓地みたいな感じなんでしょうか?
それでは森喜朗会長が外見で気に入っていたB案や、お墓のようだと酷評されたA案とはどのようなデザインなのか見ていきましょう。
隈研吾(くまけんご)氏が提案するA案
A案は建築家隈研吾氏と大成建設などのグループが提案するアイデアとなります。
・屋根は木材と鉄骨のハイブリット構造を採用
の特徴を持ち、形も上から見ると楕円形のように見えますね。
五重塔の屋根の技術と知恵を生かした設計デザインを心がけたそうです。
伊東豊雄(いとうとよお)氏が提案するB案
B案は建築家伊東豊雄氏と竹中工務店、清水建設、大林組3社などのグループが提案するアイデアとなります。
・木の柱72本が周囲を取り囲むデザイン
の特徴を持ち、外見はガラス張りのように見えますね。近未来的なデザインになっています。
極限までシンプルなお皿形状に木の軸をもたせた上に傘をさしているデザインのようです。
新国立競技場のデザインがA案に決定!「調和と日本らしさ」が評価
980点満点で行われた採点ですが、
その結果は
A案=610点
B案=602点
でA案に決定しました。その差わずか8点差です。
周りの自然や建物とのバランスや和風を思わせるデザインで「調和と日本らしさ」が評価されたようです。
それぞれの項目別の点数は以下のとおりとなっています。
B案の方が、より多くの項目でA案より高い評価を受けていましたが、最終結果に決定的な影響を及ぼしたのが工期短縮の項目です。
こちらはなんと、27点差となっていてA案が採用される結果となりました。
日本陸上競技連盟の尾県貢専務理事は、
デザインはA案もB案もそれぞれ良いところがあったが、A案の方が周辺の環境に溶け込んでいる感じがした。和のテイストは外国人に日本らしさをアピールできるし、ファンなど利用者にも良かったと思う。
と新国立競技場のデザインが決定したあとに語っています。
またしてもトラブル?ザハ側からパクリ疑惑をかけられた!
新国立競技場がA案に決定したことについてザハさんから公式にコメントがあったようです。
発表されたデザインは、スタジアムや座席のレイアウトなどが、我々が2年かけて進めてきた案に驚くほど似ている。我々がこれまでに提案し、否定されたコスト削減案のすべてが新しいコンペで採用されている。白紙撤回されたプランで新競技場を建設できた。知的財産権は我々にあることを強調しておく。
と発言されています。
確かに観客席の座席が3段階になっていたり、スタジアムを外遊出来る通路が設けられるなどの共通点はあるようですが、スタジアムのレイアウトは似ているとはあまり思えませんでした。
しかし建築に精通している人ならば、似ていると思うのかもしれませんね。
またB案をデザインされた建築家の伊東豊雄さんも落選後のコメントで、
A案はザハ氏のデザインや構造を下敷きに考えられたアイデア。ザハ氏から訴えられるのではないか。
と指摘されていました。
新国立競技場のデザイン決定までのまとめ
新国立競技場の建造物本体は来年2016年の12月に着工予定のようです。
ただ今回のA案に決定した経緯も、森喜朗会長の「B案支持」発言により委員会の方でA案ありきな採点判断になった可能性も捨てきれないようですので、森喜朗会長の発言が注目されなければもしかするとB案が採用されていたかもしれないみたいですよ。
2020年の東京オリンピック関連には数多くの問題が浮上していますが、新国立競技場のデザイン案も決定したということで、今後はスムーズに準備が進み5年後の東京オリンピックを迎えたいですね。